この夜は大阪・中之島フェスティバルタワー最上37階にある「ラ・フェット ひらまつ」にやって来た。もう長い付き合いになる南和憲支配人が出迎えてくれる。「ラ・フェット(お祭り)」 というだけあって、エントランスのキラキラ錫ミラーの通路にシャンデリア、地上200mからの大阪の街並パノラマビューなどがディナーへの気持ちを高めてくれる。

ラ・フェット ひらまつ

インテリアデザインは「ひらまつグループ」お馴染みの森田㤗通氏だ。大小様々なダイニングや個室で構成され(フロア面積7500㎡)、オープンしてちょうど10年経つが相変わらずエレガントでゴージャスな空間だ。コロナ禍もスタッフ皆で力を合わせて乗り越えてきたという。その甲斐もあり、ウェディングやパーティー、記念日に接待など人気も相変わらずの様子である。そんな中案内されたはロマンティックな個室だ。さぁ今夜も中谷一則シェフの料理をしっかり堪能しよう。

ラ・フェット ひらまつ 南和憲支配人

大阪府出身の中谷一則シェフ。入社以来ひらまつの各レストランで料理長を歴任し、「ポール・ボキューズグループ」の統括料理長に就任したのは2007年。今や株式会社ひらまつ全体の統括料理長でありながら、大阪・中之島「ラ・フェット ひらまつ」で強腕を振るっている。
そんな彼のクラシックの基本を押さえつつ、素材を適切に生かしたモダンフレンチが定期的に無性に食べたくなるのだ。笑顔と共に挨拶しに出てきてくれた中谷シェフからメニュー説明を受け、いよいよ宴がスタートする。

ラ・フェット ひらまつ

まずは乾杯。去年末閉店した西麻布「ひらまつ レゼルヴ」から配属された田中紗樹ソムリエと会話を楽しみつつ、選んだのは「ドン・ペリニヨン P2 2000(Dom Perignon Vintage 2000 Plenitude2)」。熟したアプリコット。ドンペリらしいミネラル感がほどけつつ、美しい熟成が始まっている。「これはあたりだな」フレッシュさと熟成感がしのぎを削りながら様々な表情を見せる、そしてエレガントな酸がスモーキーで長い余韻を彩ってくる。

ラ・フェットひらまつ

そこに運ばれてきた「甲イカのソテー カシューナッツ風味 グリーンピースのピューレ オレンジとサラダを添えて」。食感の変化に柑橘の風味が重なる爽やかなアミューズがこの「ドンペリ P2 」にぴったりだった。

ラ・フェット ひらまつ

アミューズに続いて、前菜は「佐賀産ホワイトアスパラガスと薩摩甘エビのポワレ キャビア オシェトラ 添え 文旦のアクセント」。極太のホワイトアスパラガスがプレートの真ん中に鎮座する。文旦のアクセントが効いた春らしい一皿。

ラ・フェット ひらまつ

2品目の前菜は「 鰻とリー・ド・ヴォーのムニエル 筍のリゾット トリュフ風味のコンソメと共に」。目の前でコンソメが注がれて完成だ。
季節の筍を生かしたリゾット。そこに大好きなリー・ド・ヴォーのムニエルが。さらに鰻とコンソメのトリュフ風味が味わいの奥行きを演出する。本日一番といってもいい素晴らしい前菜であった。

ラ・フェット ひらまつ

魚料理は華やかな彩の「 オマール海老のセジールと春野菜のエチュベ ヴェルモット・ソース」。迫力あるプレートであるが、中谷シェフの特徴ともいうべきソースが生きる。こちらも満足のプレート。

ラ・フェット ひらまつ

肉料理は「黒毛和牛ロース肉のロースト グリーンアスパラガス添え インカの目覚めのコンフィー 黒胡椒風味の赤ワインソース」。黒胡椒と赤ワインのニュアンスが赤ワインにぴったりと寄り添う。
続いて赤ワインは「ギガル コートロティ ラムーリーヌ(E.GUIGAL Cote Rotie La Mouline)2005」だ。

ラ・フェット ひらまつ La Fête Hiramatsu

「ラ・ランドンヌ」「ラ・テュルク」とともにいわゆる「ギガル3兄弟」の1本。腐葉土、細かい黒胡椒などのスパイス、ベーコンなど複雑かつ豊かな香りがグラスからやむことなく立ち上る。
ラ・ムーリーヌらしいすべらかで優雅なタンニンが中盤から大きくふくらむ。2005年ということで程よい熟成からくる余韻は長くエレガントだ。

ラ・フェットひらまつ

プレデセールは「柑橘とハーブのアイスクリーム ベルベーヌのゼリー」、デセールは「パンドエピスのチュイールとラズベリー風味のミルクのパルフェグラッセ 軽いミルフィーユ仕立て 赤いフルーツのサラダと一緒に」。
今宵も中谷一則シェフの極上フレンチ、そしてひらまつグループらしいサービスと、素晴らしい保存状態のワインを堪能できた満足な夜であった。

La Fete Hiramatsu
Nakanoshima Festival Tower 37F,
2-3-18 Nakanoshima, Kita-ku, Osaka-shi, Osaka
LUNCH- 11:30 (13:30L.O.)