京都は二条城の近く、東山三十六峰を一望できる鴨川のほとりに建つ「ザ・リッツ・カールトン京都」、2014年開業以来度々訪れている。歴史深い場所にあり、祇園や河原町・先斗町などにも近くて便利だ。
地下3階・地上4階の建物が鴨川に面しに長く延びる。ステンレスやコンクリートなど現代の素材を使いながら京都らしい和の外観デザイン。水盤の渡り廊下を越えエントランスへ向かう。入ると「六弁七宝」柄をあしらった白い陶器壁の通路。

ザ・リッツ・カールトン京都

そこを越えると日本伝統美と現代美の融合が不思議に美しい、ラグジュアリーな空間が広がっている。京町家らしい格子や組子が随所に見られる。館内には美術館さながら「源氏物語」をコンセプトにした現代アートが409点もあり(80人のアーティスト)、パブリックエリアは光源氏の邸宅「六条院」をイメージしているそうだ。
例えば、クリスタルビーズでできたキラキラの琵琶は名和晃平氏の作品「PixCell-Biwa(Mica)」。近くにはデビット・スタンリー・ヒューエット氏作の金箔「無我」など。フロント横のソファ背後に飾られるのは三嶋りつ恵氏作の「月の光」。ヴェネチアのガラスで作られた輝く京都の竹林だ。天井の照明は本物の和傘で出来ている。

ザ・リッツ・カールトン京都

他には、「ホテルフジタ京都(その前は藤田伝三郎別邸)」跡地ならではの灯籠や庭石・滝などの素材を生かし、「四神相応と京都の歴史継承」をコンセプトにした4庭園(庭園デザインは野村勘治)。地下を掘り込んだ庭園は、地下の室内プールまで光を落とす様になっている。地下水を温熱環境に変換しているのも素晴らしい。
さて、この日は外国人観光客が溢れる一歩手前の時期だったので、いつもの「スイート TSUKIMI(Suite TSUKIMI)」140平米も予約できたが今ではもうどの部屋満室で、しかも値段も一気に上がっている印象。

リッツカールトン京都 スイート TSUKIMI

なんと言ってもこの部屋は、月を眺めるための優美な月見台が特徴だ。つまり広いテラス。眼下には鴨川が涼しげに流れ、目前には大文字の浮かび上がる東山連峰が迫る。絶景の京の景色が独り占めできるのだ。初夏の日差しも心地よいこの日は、水栓からの放水が植木を潤しており、吹く風さえも何とも心地良い。夜は趣ある古灯籠に照らされたベンチでシャンパン片手に夕涼みするのも一興である。
広々としたリビングにはワークデスク。リビングテーブルには、ウェルカムアメニティの「ピエール・エルメ(PIERRE HERMÉ PARIS)」ショコラ、そしてフルーツが置いてある。

リッツカールトン京都 スイート TSUKIMI

京和傘「日吉屋」によるライトスタンド、西陣織「細尾」のクッションなどがみ雅感を演出する。中庭側の寝室は、ベッドのバックボードやカバーには七宝柄。奥にはクローゼットルーム。そしてバスルームの壁・床のエンボス桜柄デザインも特徴的だ。バスアメニティはロンドン「アスプレイ」や「京都しゃぼんや」手作り洗顔石鹸。
玄関エントランスにつながる静かなダイニングでは、ルームサービスの朝食を頂くのも宿泊の楽しみの一つ。ピエール・エルメの「クロワッサン(イスパハンなど)」「パン・オ・ショコラ」「レモン風味のブリオッシュ」は定番。

リッツカールトン京都 スイート TSUKIMI 朝食

ブティックで京都限定スイーツが買える他、館内どこのレストランでも「ピエール・エルメ・パリ」のスペシャルデザートが頂けるのは珍しい。
ホテル内にはロックガーデンと滝を見渡せる日本料理「水暉(会席・鮨・天麩羅・鉄板焼き)」や、築100年の藤田傳三郎別邸「夷川邸」をそのまま個室に移築したイタリアン「ラ・ロカンダ」、360度からアプローチできるワインセラーがある「ザ・バー」、「ザ・ロビーラウンジ」がある。コロナ前は来日シェフのイベントなどにも参加したものだった。つづく・・

ザ・リッツ・カールトン京都 ピエール・エルメ・パリ ブティック

「Suite TSUKIMI」
GRACEFUL MOON-VIEWING DECK
Panoramic views of the Higashiyama mountains including “Daimonji”.

THE RITZ-CARLTON, KYOTO
KAMOGAWA NIJO-OHASHI HOTORI, NAKAGYO-KU,
KYOTO, JAPAN, 604-0902