少し前になるが簡単に上げておこう。向かったのは福岡中心部、警固公園を眼下に望む「リストランテKubotsu」、前身は「リストランテASO 天神」。そのまま窪津朋生料理長の名を冠したレストランになったという訳だ。つまり窪津シェフは、先日紹介した吉越謙二郎シェフの弟子にあたる。
店内は博多織や大川組子、唐津焼など九州の伝統工芸品がインテリアやカトラリーに多用されていて、温もりある落ち着いた空間となっている。

乾杯で開けたのは「ドン・ペリニヨン P2 2003(Dom Perignon Vintage 2003 Plenitude2)」。そういえば先日同ひらまつ系列の大阪「ラ・フェット ひらまつ」で「ドン・ペリニヨン P2 2000」を開けた。
「ドン・ペリニヨンは瓶熟成の8年、12~45年、30年の3回にわたってプレニチュードに達する」と言う考え方。以前は「エノテーク」として発売されていたものが、現在は2回目のピーク「P2」として発売されている。妻が大好きなのでレストランで見つけたら必ず開ける事にしている。

我が家でも使っている黒いプレートに赤いステムが印象的なリーデルのブラック シリーズ「レッド・シャンパーニュ」に注がれると、微細な泡が間断なく立ち上る、かなり薄めのゴールド。いわゆるドンペリ香はまろやかで穏やかだが、確かに感じられる。そこから八朔・黄桃・オレンジ・スモーク、様々な表情を見せる。舌の上からはスパイシーな旨味がじんわりと湧き出てくる。
とてもまろやかで丸みを感じる味わいは、確かに一つのピークを向かえているのかもしれない。前菜に運ばれた、キャビアたっぷりの冷製パスタとよく合った。

続いて開けた赤ワインはボルドー「シャトー・レグリーズ・クリネ 1998(Chateau l’Eglise Clinet)」、メルロ80%、カベルネ・フラン20%。生産量が少ないが、ポムロール好きは一度は手にしたことのあるワインだろう。
ポムロールの教会の北側に畑がある。そこから教会を意味する「レグリーズ」という名を取った。ラベルにも記載されているドニ・デュラント(DENIS DURANTOU)の代になり評価も上がった。ちなみにデュラントは残念ながら2020年に亡くなった。

平均樹齢の高い古木が多い。大きくはないがポムロールらしい果実の旨味を素直に表現している。腐葉土、かなり熟成した香り。アタックから果実の甘みがチャーミングにゆっくりと広がる。果実の芯が中央に控え、長い余韻と調和してくる。グラスはシャンパンと同ブラックシリーズ「レッドボルドー・グランクリュ」だ。
温パスタの濃厚カルボナーラには、パルメザンのチップスや黒トリュフが複雑に香りたち、レグリーズの熟成香とともに楽しんだ。
RISTORANTE Kubotsu
Tenjin 4F, 2-5-55, Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka
Japan

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