更に続いて、東京・大阪・京都からひらまつイタリア部門シェフが4人集結した「COLLABORAZIONE DI CHEF ~シェフ達の饗宴~」。窪津朋生シェフ「とうもろこしのカンノーリ」、筒井崇海シェフ「タコのカルパッチョ 豆腐のムース」、竹内亮「石茂魚の炭火焼 ブール・ブランソース」、高田シェフ「クレソンのジョノベーゼ」と来て、いよいよメインの肉料理は、東京・代官山「リストランテASO(RISTORANTE ASO)」高階琢総料理長によるものだ。
高階シェフは1991年専門学校在学中から阿曽達治シェフのもとで働き始める。卒業と同時にひらまつに入社し、 1997年「リストランテASO」立ち上げメンバー、その後料理長にも就任。

ひらまつイタリア料理部門 高階琢 窪津朋生

2002年にはイタリア・ミラノの3ツ星リストランテ「マルケージ(‎Marchesi)」パリ店にて修業。 2017年再びASO料理長に就任し、現在は「ひらまつイタリア料理部門」統括料理長になる。
運ばれて来たのは「ロゼール産仔羊のローストのパセリ風味とパイ包み タイムの香るスーゴ」。香草パン粉を纏わせてローストした乳飲み仔羊だ。パプリカ・ズッキーニを合わせて、焼きナスはカポナータ仕立てだ。ヤングコーンにはバーニャカウダのサフランのソースを乗せた。

シャトー・パルメ ヒストリカル 19th センチュリーブレンド Chateau Palmer Historical XIXth Century Blend

シンプルなジュのソースに添えられた黒ニンニクのコンフィが何とも良い。こちらもソースとして頂く趣向だ。仔羊のミンチはローズマリーの香りのパイ包焼きで。ロゼール産乳飲み仔羊の繊細な肉質を様々な付け合わせとともに変化させながら楽しめた。
チョイスした赤ワインは「シャトー・パルメ ヒストリカル 19th センチュリーブレンド(Chateau Palmer Historical XIXth Century Blend)」。「シャトー・パルメ」にシラーをブレンドしたという限定のワインだ。19世紀頃の伝統的なボルドースタイルを再現したという意欲的な一本。

シャトー・パルメ ヒストリカル 19th センチュリーブレンド Chateau Palmer Historical XIXth Century Blend

当時のボルドーワインはエルミタージュ(シラー)をブレンドしていた。その歴史を再現したものと言う。シラーをブレンドするためヴァン・ド・ターブル扱い、かつ、ノンヴィンテージの建前。ただしラベルの下部に小さく「L 20.14」とあり、2014年のワインであることが分かるようにしてある。
最初の香りに感じるシラーのニュアンスがなんともいえないアクセントになっている。タンニンは溶け込み始めているがまだ元気だ。赤い果実・黒い果実がしっかりと中盤にある。余韻は優しい印象でまだまだ閉じている。繊細な仔羊とは調和してくれてちょうど良く頂けた。

ソラリア パトリツィア・チェンチョーニ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2013 Solaria Brunello di Montalcino Patrizia Cencioni

ちなみに元々コースに合わせて用意されていたワインペアリングの赤ワインは、ブルネッロらしいふくよかさながら飲みやすい「ソラリア パトリツィア・チェンチョーニ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2013(Solaria Brunello di Montalcino Patrizia Cencioni)」だった。
デザート前に窪津シェフが、嘉麻市の農場で育てた乳牛から作る「シモーネ・クレンティさんのチーズ」を運んで来た。昨年11月にできたばかりのイタリア人シモーネさんによる「チーズ工房Cscio(カチョ)」のセミハードとウォッシュだ。その新鮮な味わいを楽しむ。

リストランテKubotsu 右田パティシエ

デザートは右田沙織パティシエによる「沖縄パイナップル 爽やかなライムのジュレとホワイトチョコレートのジェラート」。パイナップル下の生地はダックワーズのイメージだ。パッションフルーツのソースも球体に閉じ込め、ホワイトチョコレートのジェラートも添えられた。透明のライムのゼリーもキラキラと夏らしい爽やかさだった。
あっという間の饗宴であったが様々な変化にとんだプレートを楽しめた。なかなか面白いイベントであった。これからも定期的に開催していくという。客だけでなくレストランの若手にとっても勉強の機会になる刺激的な取組だろう。