前回に続き「ザ・リッツ・カールトン福岡(The Ritz-Carlton Fukuoka)」。開業間もない事もあり、宿泊者やレストラン予約数を制限し、18階ロビーフロアの静寂さが贅沢である。日本料理「幻珠(Genjyu)」は会席・鮨・鉄板焼きと3つのエリアに分かれている。
案内された通路奥には、オブジェの一枚岩が威風堂々と鎮座する。そこから入ると奥に広がるのが「幻珠 by 鮨 将司」だ。東京・北青山にあるミシュラン1つ星の「鮨 将司」山口将司氏が監修する鮨。「ザ・リッツ・カールトン福岡」早坂心吾総料理長とは「ザ・リッツ・カールトン東京」で同僚だった縁で実現した。開店初日7月13日には山口氏自らカウンターにて握った。

ザ・リッツ・カールトン福岡 幻珠

西向きの大きな窓からは眼下に広がる街並みが楽しめる。福岡城跡や大濠公園の豊かな緑、遠くには博多湾が夕日に照らされ煌めいている。西日が刻々と沈んでいく様が何とも美しい。西日が強くなったところでサッとスクリーンが下ろされる。福岡県産の銀杏無垢材のカウンター席は真新しく広々とし居心地が良い。
天井や壁は、筑後和傘から発想されたと言うパネルで出来ている。錫箔が施されており、日に照らされてこれも美しい。もちろん店内デザインもオーストラリア拠点のLayan Architects + Designersだ。

ザ・リッツ・カールトン福岡「幻珠 by 鮨 将司」

山口氏は監修なので、こちらで通常握っているのは安部直宏料理長だ。山口 氏とは20年来の仲で今回の話が来たとの事。東京出身の阿部氏は「SUSHI 西麻布 権八」など東京の鮨・和食店などを経て直前は札幌の店にもいた。
カウンターには3つの台があり現時点ではその2つを稼働させている。奥には厨房がありもう一人の職人が作っている。各席に博多織を刻み込んだガラスの長角皿が並べられ、木箱には豪華な寿司ネタが綺麗に並べられている。では、江戸前鮨と玄界灘の魚介類との融合を楽しんでいこう。

ルイナール ブラン・ド・ブラン ブリュット Ruinart Blanc de Blancs Brut

まず乾杯は、グラスシャンパン「ルイナール ブラン・ド・ブラン ブリュット(Ruinart Blanc de Blancs Brut)」を頂く。世界初のシャンパーニュ・メゾンとして1729年に創業したルイナール。夕日に照らされたクリアボトルから美しく輝くゴールドが注がれる。香ばしくも爽やかな果実の甘みが美しい酸とミネラルと調和し、夏らしく気分に合う。
そこへ手渡しで差し出されるのが一品目「ウニと鮪の手巻き」だ。最初からテンションが上がると妻も喜んでいる。中にはスイカの奈良漬けも潜んでおり爽やかなアクセントに驚く。次はガラスの丸皿で「白エビとキャビア」が運ばれる。ねっとりとした食感に、散らされた紫蘇の花とジュレがアクセントでシャンパンに良く合う。

ザ・リッツ・カールトン福岡「幻珠 by 鮨 将司」

続いて登場したのは「蒸しアワビ」、たっぷりの肝ソースが敷かれている。絶妙の苦みと旨味が蒸し鮑を引き立てる。食べ終えたところでその皿にポンと置かれたのがシャリだ。なんと残った鮑の肝ソースを絡めて頂くというユニークな趣向である。
次は「アラしゃぶ」。博多と言えばアラ(クエ)は外せない、特にサッと湯通ししたアラは格別だ。上質の食材に丁寧に施された料理たち。穏やかな味わいは洗練されている。長くなったのでこの後は次回にしよう。つづく・・

ザ・リッツ・カールトン福岡「幻珠 by 鮨 将司」