更に続いて開業したばかりの「ザ・リッツ・カールトン福岡(The Ritz-Carlton Fukuoka)」。ロビーフロア18階にある日本料理「幻珠」は、会席・鮨・鉄板焼きと3つのエリアに分かれていて、福岡の食材を生かした様々な料理が楽しめる。その中で7月半ばに遅れてオープンしたのが「幻珠 by 鮨 将司(Genjyu sushi)」。
グラスシャンパン「ルイナール ブラン・ド・ブラン ブリュット(Ruinart Blanc de Blancs Brut)」を合わせて「ウニと鮪の手巻き」「白エビとキャビア」「蒸しアワビ」「アラしゃぶ」と、前回でお話した。

海側に夕日が沈みかけて、窓の外が一気にオレンジ色に輝く美しい時間だ。小皿に上品な味付けの魚身、更に続いて有田焼小皿で「ホッキ貝」。磯の香りが効いてる。
握り前の小皿料理最後は「鮪の炙り」だ。甘いソースがたっぷり敷かれ、マグロ上には白ネギが乗せられている。料理の流れも良く考えられ、メリハリが効いている。これも「蒸しアワビ」時同様、残ったソースにシャリが置かれて絡めて頂くという趣向だ。

ここで赤ワインもグラスで頂くとしよう。ニュージーランド・マールボロの「クラウディー・ベイ ピノ・ノワール 2020年(Cloudy Bay Pinot Noir)」。ルイ・ヴィトングループ(LVMH)所有のクラウディー・ベイ(ヴーヴ・クリコ社とケープ・マンテル社の共同経営)による唯一の赤ワインだ。少量だけ収穫した葡萄を伝統的な手法で醸造している。
ブラックチェリー、ドライハーブ、スパイス。少しまだざらつくも上品なタンニンが骨格をなす。熟したピノノワールの果実が美しい酸味を纏っていいる。

さてここからは握り、まずは白身3貫からスタートだ。印象に残ったのは鹿児島産「シマアジ」と千葉産「キス」。タネが口の中で絶妙な質感を見せ、ほどよくシャリと混じり合って余韻が漂う。ここで、赤身に行く前に一息つく小さな「茶わん蒸し」が運ばれる。上にはアクセントの塩辛が乗せられている。
ここからはマグロで「赤身」「中トロ」「大トロ」と3連続だ。この日は良い日本産がなかったということで海外ものだった。そして江戸前らしく「コハダ」が登場。天草産だが豊洲に送られ九州に舞い戻ってきたというもの(笑)

裏の厨房から茹でたての鹿児島産「車海老」が登場する。色鮮やかさが目を引き付ける。目の前で手際よく殻を剥いていき、さっと握られる。握り最後も江戸前らしく「穴子」だ。フワフワな仕上げに甘い煮詰めタレを乗せている。
続いて小さな「吸い物」、甘い「玉子焼き」が出されて〆られた。コース料理のみなので追加はなく、サッと舞台の幕が降りる。名残惜しく最後に何か巻物でも追加したい気分ではあった。何かを尖らせたり、シャリの力強さで押すのではなく、上質なネタをバランスよく生かした握りだ。気が付く頃にはほどよく満腹感になっている。

食後、「幻珠」3部門のうち会席料理を担当する中島弘貴料理長が、わざわざこの鮨カウンターまで挨拶に来てくれた。地元出身の若く元気な青年といった印象だ。安部料理長と共に楽しく色々と聞かせて頂いた。ではまたの機会にその「幻珠 会席」の話もしようか。

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