初秋の京都、三井財閥ゆかりの地 HOTEL THE MITSUI KYOTO

まだ暑さが残るこの日、やって来たのは京都。海外旅行客が相変わらず多いが、夏休みを過ぎ少しは落ち着いた感じだ。今回選んだ宿泊先は世界遺産・二条城が目の前にある「ホテル ザ ミツイキョウト(HOTEL THE MITSUI KYOTO)」。ここは17世紀末から三井財閥総領家(北家)の邸宅「油小路邸」があったところだ。
二条城から通りを隔てた裏路地沿い、1703年創建の登録有形文化財「梶井宮門」が正面玄関になる。門をくぐると孟宗竹や赤松が囲む中、油小路邸時からの白河石の十三重塔や丹波鞍馬石、貴船石も置かれている。真ん中には整備された「霰零」のL字道、その先には日本伝統美と最新デザインが融合した建物が凛と佇む。

HOTEL THE MITSUI KYOTO ホテル ザ ミツイキョウト

マスターディレクターは建築家・栗生明氏。入ってすぐのロビーには陶芸家・泉田之也氏によるインスタレーション「風」が鎮座する。ライトアップされた折り紙のような大きな焼物だ。館内には他にも彼らしい「積層」の花器や壁掛けなどが展示されている。サイドに並ぶレセプションデスクに置かれているぬいぐるみは、ホテルのオリジナルキャラクター「白虎」。
それらを越えて奥の明るいラウンジへ案内される。高い天井まで届く全面ガラスの向こうには水辺美しい中庭が広がっており圧巻の景色だ。ホテルの中心に位置し建物とのバランスも素晴らしい、まさに庭屋一如。京都出身のランドスケープデザイナー・宮城俊作氏が手掛けたそこは1300㎡もあると言う。

HOTEL THE MITSUI KYOTO 泉田之也

京都に伝わる「南庭北園」、二十四節気を表す植栽も見どころだ。灯篭・手水鉢・景石・沓脱石などは油小路邸からのもの。奥書院「四季の間」も継承し総檜造りになった。床の間は武者小路千家家元後嗣・千宗屋氏による室礼、現代日本画家・朝倉隆文氏の襖絵もある。この襖絵はカードキーにも描かれている。
ラウンジのソファ席で中庭を眺めつつ、ウェルカムの「柳桜園茶舗」煎茶と「和三盆」を頂きチェックイン手続きだ。見上げれば波のイメージの幕が下がっている、空間デザインは香港のインテリアデザイナー アンドレ・フー氏との事。なるほどラグジュアリーなアジアンデザインと言う訳だ。ロビー両サイドには三井家の資料や日本文化関係書籍の「ライブラリー」と、千宗屋氏が監修する「茶居」もある。

HOTEL THE MITSUI KYOTO ホテル ザ ミツイキョウト

「ホテル・ザ・三井 京都」は三井不動産初のフラッグシップホテルとして開業した。コンセプトは「日本の美しさと-EMBRACING JAPAN’S BEAUTY-」。まだ3年経っておらず、ずっとコロナ禍でもあったからかハード面は真新しい感じがする。
聞けば京都市中ながら天然温泉も堪能できるとの事。敷地内の地下約1000mから湧いた「京都二条温泉」だ。地階にある「サーマルスプリングSPA」のインテリアデザインを手掛けたのは赤尾洋平氏。彼の作品と言えば「フォーシーズンズ京都 鮨 和魂」、そして個性的な「ハイアットセントリック銀座東京」を思い出す。

HOTEL THE MITSUI KYOTO ホテル ザ ミツイキョウト

音・水・光が演出する115㎡という広い空間の中心には大きな石積み(香川県の庵治石)。東洋医学を取り入れたトリートメント、プライベート温泉などもあるようだ。と言う訳で一息ついたら宿泊する「エグゼクティブスイート」へ向かうとしよう。つづく・・

HOTEL THE MITSUI KYOTO, A LUXURY COLLECTION HOTEL & SPA

284 NIJOABURANOKOJI-CHO, ABURANO-KOJI ST. NIJO-SAGARU,
NAKAGYO-KU,KYOTO, KYOTO, JAPAN, 604-0051