再開発に沸く虎ノ門。「虎ノ門ヒルズ 森タワー」「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」に続き、先月は「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が開業した。国際新都心グローバルビジネスセンターを目指す虎ノ門ビルズエリアの中核。最上部地上250mに位置する「TOKYO NODE」は情報発信拠点になるだろう。
11階~14階には、東京初進出となる「アンバウンド コレクション by Hyatt」ブランドの「ホテル虎ノ門ヒルズ」が入った(12月6日開業予定)。お隣の同ハイアットグループ「アンダーズ東京(Andaz Tokyo)」は度々使っていて、タワー工事中も部屋から眺めたりしていたが、今度の「ホテル虎ノ門ヒルズ」は、内装デザインを日本初のデンマーク「スペース・コペンハーゲン(Space Copenhagen)」が担当すると言うからまた楽しみだ。

アンダーズ東京 Andaz Tokyo 虎ノ門ヒルズ
こちらは アンダーズ東京 Andaz Tokyo

未来的な景色満載の虎ノ門ヒルズエリアだが、そんな中歴史深く静かに佇むのが「ホテルオークラ東京」。4年かけて建て替え工事をし2019年に「ジ・オークラ・トーキョー(The Okura Tokyo)」として美しく生まれ変わった。17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」と41階建ての「オークラ プレステージタワー」の2棟からなって客室は508室。5レストランに3バー、20宴会場を設けている。旧本館ロビーを設計した谷口吉郎氏の子息・谷口吉生氏が、2つのホテルロビーに料飲施設、「オークラスクエア」等の設計にあたっている。
「大倉集古館」は、日本・東洋の古美術品と近代絵画を中心に、国宝3件・重要文化財13件および重要美術品44件を含む美術品約2500件を所蔵する。ホテル2棟と「大倉集古館」の3施設に囲まれた空間を国内外の賓客を迎える広場を「オークラスクエア」としている。

ホテルオークラ東京 ジ・オークラ・トーキョー The Okura Tokyo

「プレステージタワー」ロビーは旧本館メインロビーを踏襲したデザインで、「オークラ・ランターン(LED)」「麻の葉文様の木組み格子」「四弁花文様」など名作も新しくなって健在。六大陸各都市の「世界時計」や「梅小鉢のテーブルと椅子」「行燈」なども旧本館仕様そのままだ。
そして向かったのは、国内外賓客の迎賓館ともなる「ヘリテージウイング」。日本の美を贅沢に盛り込んだエントランスは、豪華ながら静謐なこじんまりとした空間である。ロビーそのものを日本の床の間のようにデザインしているそうだ。「錦張りの壁面」や「六角形照明」「菱文」などさすがオークラらしい伝統美。

ホテル オークラ 東京 ヘリテージスイート Heritage Suite

入口正面には旧本館の大宴会場「平安の間」で使用されていた「三十六人家集の料紙」。1300年前の上代裂と14~16世紀の間に伝えられた錦・金銀襴・緞子など百種類を張りあわせた装飾壁だ。そして一際目をひくのは、ロビー奥で自然光に揺れる藤花のシャンデリア。12m以上の吹き抜けに天板から吊り下げられた藤色のチェコガラスが揺れる。リラクリスタルおよそ2200個と言うから驚く。
「ヘリテージウイング」は6~17階で客室140室(うちスイートルーム7室)。下階に「日本料理 山里」「フレンチ ヌーヴェル・エポック」「バロンズ バー」「茶室 聴松庵」を設けている。宿泊したのは上位3番目の「ヘリテージスイート(Heritage Suite)」120㎡だ。

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部屋に入ってエントランス、ガラスの仕切り向こうに広がる横長のリビングだ。コーナーに位置し広がる大きな窓の向こう、直ぐ近くにアメリカ大使館がある。少し向こうに目をやると国会議事堂も見える。木の温もりとライトグレーにダークブラウンを基調とした和の色調の中、大きなソファセット、ライティングデスク。奥にはキッチンがあり、ミニバーにネスプレッソマシンなども。寝室寄りにある棚には朱漆塗りの箱があり、開けてみるとアメニティの「扇子」「折り紙」が入っていた。
しばらくして部屋に運ばれたのはウェルカムの「柚子のシャーベット」と京都祇園・原了郭「志そ香煎」。テーブルには「シャインマスカット」などのフルーツと、オークラ定番「リーフパイ」が置いてあった。

ホテル オークラ 東京 ヘリテージスイート Heritage Suite

寝室もライトグレーにダークブラウンで落ち着いた和の色調。窓際にある縁側風ベンチが更に和っぽい。ターンダウン時に置かれるナイトキャップは、ホテル特注の「ピエール・マルコリーニ(PIERRE MARCOLINI)」チョコ3種類。加えてホテルオリジナルのチョコ3種類。専用のロゴ入りボンボニエールに入っていた。
寝室奥のクローゼットは小さめ、廊下に鏡台とコンソール。バスルームは黒い大理石張りで「スチームサウナ」もあった。浴槽は深めでブローバス。Wシンクの引き出しにバスアメニティ、ダイソンのヘアドライヤー。バスアメニティは英オーガニックブランド「バンフォード(Bamford)」。

ホテル オークラ 東京 朝食

クラブラウンジ利用可だがプレステージタワー37階は遠いため、朝食はいつもの様にルームサービスでお願いする。玉子料理が付いた洋食の「ヘリテージウウィングブレックファスト」と、オークラ定番「和朝食」。日本ブランドのホテルはルームサービスメニューが充実しているのは楽しい。
周辺はますます活性化して開発進化の街イメージになっていくが、ぶれる事無く今後も日本伝統文化に溢れ、日本美を継承するホテルとして静かな「The Okura Tokyo」であって欲しいと思うのだった。