恵比寿ガーデンプレイスは今年の10月で開業30周年を迎える。つまり同時に開業した「シャトーレストラン ジョエル・ロブション(Château Restaurant Joël Robuchon)」も今年で30周年だ。1994年に「タイユバン・ロブション」としてオープン。ロブション城を建設するに当たって、何とフランスの西部ポワトゥ地方のショヴィニーの石が運び込まれた。最初は本物のフランスのシャトーを輸入しようとしたのだが、さすがに認可が下りなかった。
そして10年後2004年に「ジョエル・ロブション」としてリニューアルした。その時に森田恭通氏が内装を手掛け、現在のキラキラゴールドのダイニングになった。私にとってもこのレストランと共に沢山の思い出がある30年だ。

シャトーレストラン ジョエル・ロブション Château Restaurant Joël Robuchon

思えば、2014年に行われた顧客限定の「シャトーレストラン ジョエル・ロブション20周年ガラディナー(Diner du 20ème anniversaire du Château Restaurant Joël Robuchon)」時は、故ジョエル・ロブション シェフも御存命で(2018年没)、パーティーの数日前から来日していた。
ロブションを支えてきたスタッフ達とも長年仲良くさせて貰っているが、開業からのメンバーは山地誠総支配人を始め原田聡メートル・ドテルなど、今では片手で足りる程になってしまった。一方で新人の頃から知っている水野敬介氏が副支配人になっていたりするのは嬉しい事だ。17年連続「ミシュラン・ガイド東京」3つ星はいうまでもない。

シャトーレストラン ジョエル・ロブション Château Restaurant Joël Robuchon

バレンタインより前の寒い夜、恵比寿に輝く城に車をつけると、スタッフ達が扉を開け笑顔で出迎えてくれる。いつもの様にエレベーターで2階「ガストロノミー ジョエル・ロブション(Joël Robuchon Restaurant)」に向かう。ダイニングの中心には豪華「バカラ シャンデリア」が降り注ぎ、黄金の壁にはクリスタルとミラーが輝く。スタッフ達と挨拶を交わしながらいつもの席へ案内される。テーブルにはお馴染み「バカラ スタンドライト」と白い花、そしてクリスタルが散りばめられている。
この日は高丸智天シェフ・ソムリエ が休みだったので、三上雅行プルミエ・ソムリエが担当してくれる。穏やかで優しく丁寧なサービスだ。そして料理は関谷健一朗総料理長(2021年11月就任)。昨年「M.O.F.(フランス国家最優秀職人章 Meilleur Ouvrier de France)」を受章したことも話題になった。料理部門でフランス人以外では史上初の快挙だ。

三上雅行ソムリエ ジョエル・ロブション

そうそう、前総料理長のミカエル・ミカエリディス(Michaël Michaelidis)シェフはアメリカ・マイアミに渡り、現在3店舗のオーナーシェフとして大成功している。更に前々総料理長アラン・ヴェルゼロリ(Alain Verzeroli)シェフもニューヨークで活躍していると言うから嬉しい話だ。
この夜は、ジョエル・ロブションの最高傑作料理の数々を集めた「Menu Dégustation」にする。小さめのポーションがかなりの多皿で提供される。まずはお馴染みの熱々「手長海老のホットサンド」が運ばれる。雲丹ベシャメルソースが効いている。グラス・シャンパーニュで乾杯しよう、「ブルーノ・パイヤール エクストラ・ブリュット ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ(Bruno Paillard Extra Brut Blanc de Blancs Grand Cru)」だ。

サハビィ・ムスタファ Sahbi Mustapha ジョエル・ロブション

故ジョエル・ロブションが気に入ってハウス・シャンパンにしていた「ブルーノ・パイヤール」。こちらで頂くと歴史を思い出し何とも懐かしい気分になる。そこへ「お皿が新しくなりましたよ~」といつも陽気なサハビィ・ムスタファ(Sahbi Mustapha)プルミエ・メートル・ドテルが運んで来たのは「Le Caviar Impérial de Sologne et le crabe rafraîchi d’une gelée de crustacés, légèreté au chou-fleur キャビア・アンペリアル ロブションスタイル」。
カリフラワーのクレーム、オマール海老のコンソメジュレ、キャビア、そしてドット柄。歴代シェフで盛り付け方は変わるが、ロブションを現す看板アミューズとして人気だ。そして「パンワゴン」もやって来る。小さめで多種が楽しめる様に、シャトーレストラン内のベーカリーで特別に焼いたものだ。これもロブションらしいお楽しみの一つ。

ジョエル・ロブション パンワゴン

ではいよいよ一皿目の前菜として3プレートがセットで登場してくる。「La Pomme de Terre confit en duo de truffe noire aux copeaux de foie gras 黒トリュフとインカのめざめのコンフィ フォアグラのコポーと共に」は、温かいインカの目覚めの食感にフォアグラを合わせた。
「La Sériole en tartare voilée fines lamelles de radis rouges à l’aigre doux au calamansi 寒鰤のタルタルと根菜のラメルを甘酸っぱいカラマンシーのヴィネグレットで」は、富士山のように盛り付けられた紅心大根の中に、小さくカットされたタルタルが潜んでいる。
そして「La Carotte et la joue de bœuf en mille-feuille accompagnée d’une émulsion à la moutarde 牛頬肉と京人参のミルフィーユ仕立て 軽やかなマスタードのソースを添えて」。
それらに合わせて三上ソムリエが、グラスの白ワインを注いでくれる。「エグリ・ウーリエ ブラン・ド・ノワール グラン・クリュ ヴィエイユ・ヴィーニュ (Egly Ouriet Brut Blanc de Noir Grand Cru V.V)」だ。

ガストロノミー ジョエル・ロブション Château Restaurant Joël Robuchon

こちらも我が家定番のブラン・ド・ノワール。最近ではザ・リッツ・カールトン大阪「ラ・ベ」で頂いた。さて続いては2皿目の前菜だ。「L’Escargot en crôute dorée à la purée d’ail et persil 三重県産エスカルゴのクロメスキ パセリとニンニクのクーリで」は、フレンチの定番の再構成だ。グッと引き締まって強い味わいがいかにもロブションらしい。
「L’Œuf de Poule façon “Chimay” sur une émulsion de Comté, tuiles parmesanes aux délices de diamants noirs “ウフ・ファルシ・シメー” 黒トリュフとコンテチーズのソースと共に」は、故ロブション氏の右腕だったエリック・ブシュノワール(Eric Bouchenoire)シェフ来日ガラディナーでも提供された。卵の周りにトリュフとコンテのソースが絡む。独特ながらクセになりそうな味わいだ。

ガストロノミー ジョエル・ロブション Château Restaurant Joël Robuchon

それらに三上雅行ソムリエが合わせてくれたグラスの白ワインは「ルーロ ムルソー クロ・デ・ブシェール プルミエ・クリュ 2014(Domaine Roulot Meursault Clos des Bouchères 1er Cru)」。このレベルの白ワインがグラスでさっと提供されるのはさすがロブションである。
1830年から続くルーロは生産量も少なく、なかなか手に入らない。その中でもクロ・デ・ブシェールは「ルーロ」のモノポール(単一畑)になり貴重だ。澄み切った香りの中から微かな樽香が滲みである。アタックから何ともエレガントな酸が広がり、詰まった果実の旨味を品のあるミネラルとともに長い余韻へとつなげていく。

そろそろ長くなって来たので、後半の料理は次回に話していくこととしよう。続く・・

Joël Robuchon Restaurant
Yebisu Garden Place, 1-13-1, Mita, Meguro-ku, Tokyo 153-0062
Tel 03-5424-1338 Hours 11:00 to 21:00