セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

短い秋からいよいよ年の瀬の風情も出てきた。そこで振り返るのは今年の印象に残ったレストランでのディナーだ。なかなかこちらにアップ出来てないホテルやイベントも多く、溜まっていく写真を眺めつつ勿体ない気持ちになる。とにかく遅ればせながらでも挙げて行こうと、そこで目に留まったのは夏の・・
そうこの日のディナーは外せないだろう、「セザン(SÉZANNE)」。オープンわずか3年で「Asia’s Best Restaurant 2024」1位になった後、「ミシュランガイド東京」でも3つ星に上り詰めた。今一番予約が取り辛いレストランだ。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

場所は東京駅に繋がる「ブルガリホテル東京(The Bulgari Hotel Tokyo)」の、通りを挟んで徒歩ですぐの距離。「フォーシーズンズホテル 東京 丸の内(Four Seasons Hotel Tokyo at Marunouchi)」の7階にある。ガチガチのオフィスビルなので、平日は女性がドレスアップして向かうとちょっと場違い感があるかもしれない(笑)
ホテルは現在、全客室リノベーション中で宿泊は休業しているが、レストランやスパは営業している。内装デザインは日本でもお馴染みの香港の建築家アンドレ・フー(André Fu Studio)が手掛ける。ルイ・ヴィトン「オブジェ・ノマド・コレクション」や「HOTEL THE MITSUI KYOTO」など、そうそう先日泊まった「ウォルドーフ・アストリア大阪(Waldorf Astoria Osaka)」も彼が手掛けていた(これについては後日)。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

7階に着く。まずは個性的なゴールドのパーテーションが印象的な「バー&シャンパンラウンジ」に通され、軽いドリンクで一息つく。奥にはビストロ「MAISON MARUNOUCHI」が見える。ディナーは一斉スタートなので、ゲストが揃うのを待つといったところか。そしていよいよ順に、メインダイニングに案内される。クラシックでありながらリラックス感に満ちた温かみある空間となっている。
奥のオープンキッチンには、数人の料理人が忙しく動いているのが見える。ダニエル・カルバート(Daniel Calvert)総料理長は、1988年イギリス生まれ。ロンドン「ジ・アイビー(The Ivy)」「ピエダ・テール(Pied à Terre)」などを経て、ニューヨークのミシュラン3つ星「パ・セ(Per Se)」、パリのミシュラン3つ星「エピキュール(Epicure at Le Bristol)」でスーシェフを務めた。そして、香港「 ベロン(Belon)」で「アジアのベストレストラン50」4位を獲得した後、ここ「セザン」開業時にシェフに就任したという華々しい経歴を持つ。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

「成功のカギは一貫性。誰もが一度は、素晴らしい料理をつくることができる。その素晴らしい料理を再現しつつ、さらに優れたものにするための努力を続けることが大事」と述べるダニエル・カルバート。その言葉通り、スタッフの自主性を重んじ、チームワークを大事にしているという。
エグゼクティブ・スーシェフには、同じくニューヨーク「Per Se」などを経て、「Noma」系レストラン「イヌア(INUA)」のオープニングメンバーだったアシュリー・ケイリー(Ashley Caley)という充実した陣容だ。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

レザー張りのテーブルに着席すると、豪華なシャンパンクーラーが運ばれてきた。極上シャンパーニュがグラスからチョイスできるのは嬉しい限り。最近こういうレストランは本当に少なくなった。そこに登場したのは「セザン」ヘッドソムリエでありジェネラルマネージャーの大塚信秀氏。銀座「ベージュ アラン・デュカス(Beige Alain Ducasse)」ではサービスを担当して頂いてたので久しぶりだ。「ご無沙汰をして~」とご挨拶。相変わらずとても落ち着いて的確なサービスで安心だ。
ダニエル・カルバート シェフはシャンパーニュ地方に住んでいたこともあり、シャンパーニュには強いこだわりがある。「クリュッグ」アンバサダーも務める。それではせっかくなので「クリュッグ ヴィンテージ(Krug Vintage)2011年」をグラスで頂く事にしよう。ピノ・ノワール46%、シャルドネ37%、ムニエ17%。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

綺麗な黄金色の中に微細な泡は溶け込んでいる。カリン・白い花の蜜・アジアンスパイス・・切れ上がった美しい酸がミネラルに包まれている。スモーキーかつ果実のニュアンスが長い余韻を形作る。そこに運ばれて来たのは「コンテチーズのグジェール」。中に48ヵ月熟成のコンテチーズが潜んでいる。温めて提供され口の中で風味が立ち上る。予想より濃厚で「クリュッグ」となんとも良く合う。
続いて「麦芽大麦サワードゥ」。大麦麦芽と赤味噌を練り込んだ自家製パンが、ブルターニュ「ボルディエバター(Le Beurre Bordier)」と共に登場だ。表面は香ばしくガリガリッと、日本を意識した味噌の風味が広がる独特の味わいだ。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

そして運ばれてくるのは「長崎県産スイートコーン スモークパプリカ」。長崎産とうもろこしのスープの中、スモークさせたパプリカオイルが振られている。パプリカの香りとピリッとした風味が余韻に長く残る。これまたイメージよりもかなり濃厚で印象に残る。
続いて「きゅうりの花 北海道産帆立 マイヤーレモン」。SÉZANNEオリジナルプレートに3本のきゅうりの花が映える。花の中にはホタテのムースが潜んでいる。手で取り頂く。苦味とハーブの余韻が素晴らしい。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

ここで白のグラスワインも頂いていこう。「ブリュノ・コラン シャサーニュ・モンラッシェ ブラン(Bruno COLIN Chassagne-Montrachet Blanc)2021年」だ。オイリーな樽の香りにレモンやライムの爽やかな香りが混ざり合う。とても高くて綺麗な酸味が印象的な白だ。繊細なアタックながらフルーティーな心地よい果実味がミネラルと調和しており、グラスワインとしては十分な品質だ。
そこに運ばれたのは「北海道産シマエビ ナージュ」。シマエビのタルトの中にシマエビのムースが潜んでいる。軽いパリパリ感の上に酸味あるナージュのゼリーが「ブルーノ・コラン」にぴったり。一口で頬張って頂く。

セザン SÉZANNE フォーシーズンズホテル東京丸の内

と言う訳で品数が多いので前半はここまで。後半は国際色豊かなサービス陣によるテーブルでのデクパージュや楽しい話をしていこう。「ミシュランガイド東京」2025・2026と2年連続3つ星獲得して、今乗りに乗っている注目のフレンチレストランを引き続き紹介する。「後半」に続く・・

Four Seasons Hotel Tokyo at Marunouchi
1-11-1 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo,
Japan 1006277

SÉZANNE
Classically rooted, regionally inspired French cuisine