前回に続いて、京都フレンチ「モトイ(Restaurant MOTOI)」のディナー後半。大正時代の日本家屋を再生した和モダンな空間で、前田元シェフの独特の世界観が楽しめるレストランだ。梁が印象的な天井高の広いダイニング、奥に見える中庭は灯籠や苔むした庭石がライトアップされ風情ある。初秋の風が心地よいこの夜は、その庭の奥にある「蔵」を改装した個室(特別室)で「特別室限定メニュー」を頂いた。
シャンパン「ジョノー・ロバン レ・グラン・ノ 2009(Jeaunaux-Robin Les Grands Nots Millesime」、赤ワイン「メオ・カミュゼ コルトン グラン・クリュ レ・ペリエール 2011 (Méo Camuzet Corton Grand Cru Les Perriéres)」を楽しみながら、前田シェフらしい(フランス料理 × 中国料理)京都フレンチを堪能しよう。

後半、運ばれたのは「フランス産エスカルゴのブルギニョン 夏野菜のクーリと」。香ばしいニンニクのピューレを敷いて、その上にモロヘイヤやツルムラサキのねっとりとした食感を合わせる。フレンチ定番のメニューを昇華させた楽しい一品だ。当然ブルゴーニュの「メオ・カミュゼ」にはぴったりと合う。
焼きたての「パン」2種に添えられるのはいつもの「海藻バター」と、青々しい香り豊かな「澳 OKI Olive 」。香川県高松市「天空のオリーブ園」産のエキストラバージンオリーブオイルは、新鮮さと若実の独特な風味がインパクトあり癖になる。

次に登場したのはお待ちかね「スッポンのシヴェ」。前田シェフのスッポン料理もこちらの楽しみの一つだ。パートフィロで包んで春巻きのように仕上げた。このあたりも中華経験ある前田シェフらしいテクニック。すっぽんの様々な部位が入ってるので食感も含めて楽しい食べ応えだ。ゼラチンと血のニュアンスが口いっぱいに広がる。添えられた根セロリとビーツのピュレがその重たい味を和らげてくれた。
続く「イタチ胡瓜の炊いたんとオマール海老」。前田シェフがいつものように(笑)京都中をバイクで回って生息地を探し出したという「自然のクレソン」がいい。ブルターニュ産オマールエビのプリッとした食感と旨味、そして焦がしバターの風味が美味だ。イタチきゅうりを茄子っぽく処理してるのも面白かった。

「スジアラのポワレ 万願寺万願寺唐辛子とアンデスの唐辛子」。これも前田シェフ得意な皮目をパリッと仕上げた魚だ。この日はスジアラ。京都らしい万願寺唐辛子も添えている。フュメ・ド・ポワソンにはチョリソにアンデス産唐辛子も溶かし込んでいる。ピリッとした感覚が残る余韻が何とも言えず面白くクセになる。これまたシェフの「アマゾン探索」を思わせる味わいであった。
続いて登場したのは「ランド産小鳩のロティ ソースサルミ」。フレンチらしいメインの肉が最後に嬉しい限りだ。内臓・血を加えたサルミソースをたっぷりと絡みながら食する。ロティだけでなくささみも添えられる。ルバーブのコンフィやメークイーンのピューレとともに最後までワインとともに頂いた。

「モトイ」と言えばデセールも盛りだくさん。今宵は3種類、ピンクの「大原の赤ちそのグラニテ」、爽やかな「梨のスープ、甘酒と翡翠みかん」、そしてもっちりの「無花果のクレープ」と続く。クレープにはバニラソースにイチジクの葉のパウダーもふり、いちじくのアイスも添えて食べ応えある。最後まで「特別室限定メニュー」らしい充実感であった。
その後は前田シェフと田中秀和ソムリエとワイワイお話ししながら、いつものカヌレやマカロンなどの「ミニャルディーズ」とハーブティで余韻を楽しむ。古い土蔵を改装した個室(特別室)のしっとりと落ち着いた空間の中、いつもの様に前田シェフの創意工夫の料理と美酒を堪能した、満足な京都の一夜となった。

Fusion of Japanese and French cuisine
Restaurant MOTOI
186 Tawarayacho(tominokojidori2-josagaru) Nakagyo-ku,
Kyoto-shi, Kyoto-fu 604-0952
Japan

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