またまたやってきました「ザ・リッツ・カールトン福岡(The Ritz-Carlton Fukuoka)」。福岡市中心部に今年6月開業した「福岡大名ガーデンシティ・タワー」高層部にある。向かうは18階にある日本料理「幻珠(Genjyu)」、3つのエリア(会席・鮨・鉄板焼き)に分かれている。
先日は夏の「幻珠 by 鮨 将司(Genjyu sushi by masashi)」「幻珠 会席(Genjyu KAISEKI)」を紹介した。よって今回は秋の「幻珠 会席」、季節が変わった会席コース「天穹(Tenkyu)」を楽しみに再訪した。

伝統工芸「博多織」を全体イメージにしたLAYAN Architects + Designers 監修の館内インテリアデザイン。広く伸びる窓からは福岡城跡や大濠公園、福岡タワーに博多湾、志賀島など美しい景色を一望できる。籃胎漆器や久留米絣、九州の職人による有田焼などの器・絵画も飾られている。
いつもの様に、フロア通路奥の一枚岩オブジェを通過し「幻珠 会席」に入る。高取焼や小石原焼などの器が美しく並べられ、壁やインテリアも博多織モチーフの装飾だ。夏と違った窓からの景色、刻々と沈んでいく秋の夕日が真っ赤に今にも沈みそうだ。思わず感嘆の声が漏れる・・間に合って良かったとしばし眺める。

着物姿の「幻珠」マネージャー橋本愛子氏が笑顔で出迎えてくれ、前回同様の席に案内して頂く。いつもの様に「ザ・リッツ・カールトン福岡」定番、グラスシャンパン「ルイナール ブラン・ド・ブラン ブリュット(Ruinart Blanc de Blancs Brut)」をお願いする。
世界初のシャンパーニュ・メゾンとして1729年に創業したルイナール。クリアボトルから美しく輝くゴールドが注がれる。香ばしくも爽やかな果実の甘みが、美しい酸とミネラルと調和する。

乾杯するうちに日は沈み外は一気に暗くなってきた。「幻珠 会席」の料理長は、京都「高台寺和久傳」や東京「銀座 ふじやま」で腕を磨いた中島弘貴氏。風情も味覚も完全に本物の京都和食が楽しめるのだ。このレベルの京懐石を博多で頂くのはなかなかなく貴重だ。中島料理長は今も色々悩んだ時は、師匠である京都「和久傳」元総料理長の「銀座 ふじやま」藤山貴朗氏に相談しているそうだ。心強いだろう。

では今宵も、玄海灘で獲れた新鮮な魚介類と九州各地の厳選食材を取り入れた会席コース「天穹(Tenkyu)」全8品を頂いていこう。「その土地が秘めた素晴らしい食材を紹介する」がコンセプトだ。先付は「車海老 茸 筋子 菊花 菊菜 出汁ゼリー」。しゃっきり歯ごたえの菊菜、ぷりっと弾ける筋子、そしてふっくらした志賀島の天然車海老。上から掛けられた出汁ゼリーか柔らかな風味で全体をまとめあげる。食感のコントラストも楽しい。

椀物は「鱧 松茸 柚子」、この季節ならではの嬉しい組み合わせだ。蓋を開けると立ち上がる湯気と松茸と柚のまろやかな香り。松茸は1本丸ごとの食べ応えだ。ホクホクの鱧から旨味が溢れ出す。京らしく薄味でもある出汁はふくよかで素晴らしい塩梅である。
続く向付の「造り三種」はカツオ、甘鯛、そして炙った「サワラ」だ。上質の甘鯛のネットリした食感を楽しむ。鰹はポン酢で頂く。

焼八寸は、「枝豆当座煮 蓮根煎餅 丸十レモン煮 魳幽庵焼き むかご 銀杏 衣かつぎ 烏賊細造り 酒盗 柿なます胡麻和え」。様々な食材を取り入れた季節感豊かな「八寸」はこちらの楽しみの一つだ。紅葉も飾られて秋らしい風情である。旬のカマスの柔らかくしっとりした身を幽庵焼きに仕上げた。一品一品丁寧な仕事は美味しく、楽しい。
ここでグラスの白ワインもお願いしよう。リストの中から選んだのはカリフォルニア・ナパヴァレー「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ ハンズ・オブ・タイム シャルドネ 2009(Hands Of Time Chardonnay Stag’s Leap Wine Cellars)」。

1976年パリ・テイスティングで「オー・ブリオン(Chateau Haut-Brion)」や「ムートン・ロートシルト(Chateau Mouton Rothschild)」を抑えて1位に輝いた逸話が有名な「スタッグス・リープ」だ。フレンチオークで8ヶ月熟成したシャルドネ。グレープフルーツ、ゴム、程よく樽の利いたシャルドネ。透明感のあるアタックに続く心地よい酸味がエレガントさも醸し出す。
ここで運ばれたのは、口直しの「焼き無花果 味噌 ナッツ」。焼きイチジクのねっとりした甘さに八丁味噌の風味が重なり合い、さらにナッツの触感も絡み合う。なんともクセになりそうな口直しだ。

強肴は「九州産 黒毛和牛 松茸 林檎 大徳寺納豆 山葵」だ。絶妙に火入れされた黒毛和牛を松茸とともに楽しむ。椀同様こちらも秋らしい香りの松茸丸ごと1本が迫力である。タレにほんの少し垂らされた大徳寺納豆のエキスが、何とも京料理らしいアクセント。
こちらは日本酒も豊富に揃っているが、シャンパン・白ワインに続けて赤ワインもグラスでチョイスしよう。リストから選んだのは「フランシス・フォード・コッポラ ディレクターズ・カット カベルネ・ソーヴィニョン アレキサンダー・ヴァレー 2019(Francis Ford Coppola Director’s Cut Cabernet Sauvignon Alexander Valley)」。映画監督コッポラが1975年からワイナリーを購入しカリフォルニアワインの中で確固たる地位を築いている。

この1本は映画フィルムのようなテープの巻き付いたラベルも印象的だ。カベルネ・ソーヴィニヨン85%、プティ・ヴェルド10%、カベルネ・フラン5%。滑らかなタンニン、涼やかな胡椒の香り、アタックはタルの甘さ。バランスのカベルネリラ大きくはないが心地よい。
お腹いっぱいになったはずだったが、運ばれた香ばしい鮭の香りがまた食欲をそそる、「秋鮭 炊き込みご飯 味噌汁 香の物」だ。もしくは「鰻丼 肝吸い 香の物」もチョイスできる。ご飯の量もあらかじめ聞いてくれる。季節を感じる満足の炊き込みご飯であった。

締めの水菓子は「シャインマスカット 梨」に熊本の栗を使った「栗大福」。糸島のシナモンが効いて上品に頂けた。
贅沢に落ち着いた空間で頂く京料理。九州の食材もふんだんに利用し、コースを食べ終える頃には十分な食べ応えと季節感も残してくれる。最後はテーブルに顔を出してくれた中島料理長としばし歓談して、今後の意気込みなども聞かせてくれた。また次の季節も訪れたい、今から楽しみだ。

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