寿司の様にイタリアンを楽しむ𠮷越ワールド

福岡の中心部より1時間ほど車で行った那珂川市に誕生した「伊料理 𠮷越」。緑と水があふれる山間の美しい場所に、すっきりしたモダン建築が際立つ。「いずれはオーベルジュにして欲しいわぁ」としみじみ眺めながら妻が勝手を言っている(笑)
さて突き出しを頂いている目の前で、吉越謙二郎シェフが立派な鰹節削り器でガシガシ何かを削っている・・乾燥させたマグロ(鮪節)だ。

伊料理 𠮷越 イタリア料理 吉越

削ったそれを弟子の田村くんが厨房から運んで来た料理に盛り付けてから、目の前に置かれた。これが2品目の突き出し、華やかな有田焼に入った「キャヴィア 蜆 純菜」。
鹿児島のシジミをアクアパッツァの中にジュンサイやオクラと共に潜ませている。箸に巻いて乗せたパスタ上にはこんもりとキャヴィア。それをまるで流し素麺の様に器に沈ませて頂く。

伊料理 𠮷越 イタリア料理

洋と和が融合しつつも美味しい着地点を見せてくる。実に涼し気・・吉越さんらしい味わいである。「アンリ・ジロー ブラン・ド・クレ」も良く合う。
続く冷前菜は「鮑 車海老 蕗」。吉越シェフが鮨職人のように名前が刻印された有次の和包丁で食材に手を入れていく。「ザ・ひらまつ 京都」小泉料理長から和食のエッセンスや技術を習得し奥深さに惹かれたという。それが今回の店造りにも料理にも反映されてるのだ。艶やかに濡れる蕗の葉を添えて梅雨の風情で運ばれる。

伊料理 𠮷越 イタリア料理 吉越

ガラスの皿には柔らかな鮑、香ばしい海老、シャキッと歯ごたえの蕗。中心にバルサミコのジュレが鎮座し、その綺麗な酸味が料理をまとめ上げる。見た目だけでなく味わいも涼しく美味である。
次に運ばれて来る料理は温前菜「小鳩 トルテリーニ お吸い物 洋山椒 海苔」のはずであるが・・吉越シェフが楽しそうに、何やらハンドドリップの器具を用意し始めた。鳩の骨、レバー、ハツを低温で粉末にする。それをペーパーフィルターに入れ、先程削り器でガシガシやっていたマグロ節でとった出汁を注いでいく。

伊料理 𠮷越 吉越謙二郎

まるでコーヒーの様にドリップでスープを抽出している。その間に、テーブルには中華せいろで蒸された小鳩腿肉のトルテリーニが運ばれる。仕上げにサマートリュフを削りかけてあり、蓋を開けたときにふんわりトリュフの香りが立ち昇る。
生地の中にはほうれん草も顔を出す。熱々をほうばっていると先程のスープがちょうど出来上がって来た。優しくも地味深い味わいにほっとする。

伊料理 𠮷越 トルテリーニ

続いて目の前で、吉越シェフと弟子田村くんが何やら作業をしている。その様はまるで鮨屋のカウンターだ。そして鮨屋流のポーズで手巻き寿司を差し出してくれる。カチョエペペのリゾットを鳩胸肉と合わせ、海苔で手巻きにしているのだ!リゾットの風味と血が滴るような鳩胸肉の鉄分が、口いっぱいに広がる。何と美味い「手巻き寿司」だろうか。

伊料理 𠮷越 吉越謙二郎 那珂川

それに合わせて「二口目はこちらで」と醤油皿に、バルサミコとフォンドボーを合わせたソースを出される。なるほど味わいが変化していける。相変わらず創作意欲満載の吉越シェフ。前菜でこんなに盛りだくさんなのに驚くばかりだ。さて、ここで赤ワインも選んでいこうか。続く

Italian Cuisine Yoshikoshi
615 Ichinose Nakagawa-si, Fukuoka-ken 811-1233